あなたがいた世界を・・

 

 

去年の今日

 

朝 奥さんからメールが

 

「銀パパが死んじゃった」

 

僕は仕事で銀ママからの電話に出れず

 

奥さんに連絡したママ。。

 

 

アナタが死んでしまい

 

今日で1年です。

 

 

僕は今でもアナタの街に通い

 

あれやこれや動いてます。

 

 

 

アナタが死んでしまったせいで

 

音楽イベントのポスターをどうするか

 

宙ぶらりんです。。

 

 

 

約束やぶったのこれが最初ですね。

 

 

 

 

アナタがいない石巻に行ったら

 

寂しいんだろうな・・そう怖がってたけど

 

全然寂しくない(笑)

 

なんも変わらない(笑)

 

酒飲んで笑ってりゃいつもと同じ。

 

 

 

 

でも

 

なんかのセリフじゃないけど

 

今でもフラってあの店のドアくぐって

 

「けんちゃぁ~ん」って独特な言い方で

 

恥ずかしそうに声かけてくる気はして

 

ふっと飲んでる時 ドアを気にはしてる

 

自分がいるよ。

 

 

寂しくないけど

 

なんか「変」ってのがハマるかな・・

 

 

 

 

昨日お客さんに

 

「あんだけ動き回っててもしも

 自由な時間がポンって出来たら

 なにしますか?」

 

って聞かれて即答したのが

 

「東北にいきます」

 

だった

 

 

その時浮かんだ顔は

 

アナタやママや栄ちゃんや

 

令ちゃん ユウスケさん

 

鴬出さん ハルタクの阿部さんでした。。

 

 

 

故郷を持たない僕には

 

あの街と言うよりも

 

そこにいる人たちが故郷になる気がします。

 

 

 

 

最初 アナタの事がキライでした

 

「お前らなんて自己満足だ」

 

「お前らみたいのがこの街をダメにする」

 

このジジイ!!ナメんなよ!!

 

そんな風に思っていた。

 

 

今でも覚えてる

 

知り合って1年経ってさ

 

俺がカウンターでラーメン食ってて

 

イス3個くらい離れてアナタが座ってて

 

お互いの距離の間に微妙な空気がまとわりついてて

 

お互い無言。

 

話そうか?いや俺から話しかける必要はねぇ。。

 

互いにそんな空気だったね

 

 

でさ ラーメンじゃ足りなくて

 

石巻焼きそばも追加してさ

 

出来てきて 食べようとしたら

 

「・・これ・・途中からかけて食べて・・」

 

そう言ってソースをくれたね

 

「。。。あっ。。。はい。。。」

 

互いにそれだけの会話。。。

 

 

最初を思えば俺がアナタを

 

パパなんて呼ぶなんて思いもよらなかったね。

 

 

お互いの空気が変わった日

 

覚えてるよね?

 

銀河が立ち退きになって 新たな銀河を作るのに

 

俺 日帰りで銀河に行って床張りの

 

リフォーム手伝った時

 

あの日もさ

 

会話なんて無くてさ

 

床張りのやり方とさ ボソボソって2こと3こと

 

会話しただけだったね。

 

 

でも

 

俺が現れた時

 

あのビックリした顔と

 

空気が柔らかくなった瞬間覚えてるんだ。

 

 

でも

 

お互いな~んか気まずくて

 

恥ずかしくて

 

ろくにありがとうも言わね~で

 

「帰っていいよ もう大丈夫だから」

 

それは厄介払いでなく

 

本当に気を使っていたわってくれての想いって

 

すぐにわかった。

 

 

あの日からだね

 

俺とパパが「親子」になれたのは。

 

 

そっからだね

 

ある時なんて

 

ケンちゃん来たら一緒に飲むんだ!

 

ルイ13世って超高級な酒

 

(買うと13万くらい店で飲めば・・30万40万?)

 

を用意してくれてさ

 

あの時期 まだ金ね~だろって頃に

 

そしたら俺がモノの30分で半分以上飲んじゃって

 

あの日の照明の色とか柔らかい感じとか

 

やたら覚えてて 上機嫌でパパも飲んでたら

 

突然フラって立ち上がって2~3歩歩いたら

 

棒のように受け身もせず顔からバーンて倒れて

 

 

もう死んだと思ったマジに

 

したら 「。。。ンごぉぉぉ~」って

 

イビキかいて(笑)

 

大丈夫ってわかったらその棒状の体制のまま

 

ほっぽって飲み続けたっけ

 

 

 

可愛い子が一緒の時は全身白のスーツに

 

ボルサリーの被って

 

「この親父何イキってんだよ!!(笑)」って

 

大笑いしたね。

 

 

 

 

 

炊き出しを初めてやる時

 

冷蔵庫がないのにやると決めた後気付く

 

間抜けっぷりに器用なアナタは

 

震災でどっかから流れてきた冷蔵庫を

 

自分で直してくれて何も言わずポイって

 

置いといてくれたり

 

寝る場所ない僕らに コンパネの板を

 

ビールケースの上に並べて簡易ベット作ってくれたり

 

僕らがいくとなれば 根城に布団敷いてくれてたね

 

俺の布団に潜り込んできて一緒に寝たね。

 

 

仲良くなって飲めば必ず俺が

 

「パパはさぁ~マジに感じ悪かったよ

 お前らは自己満足だ!

 お前らみたいのがこの街をダメにするんだ

 

 俺アレにはこのヤロ~って思っていつかこのジジイ

 屈服させてやる!そう思って頑張ってきたんだぜ」

 

 

それを言えば申し訳なさそうに

 

「あれはケンちゃん、

 東北の田舎モンのヒガミだよ。。(笑)」

 

そう言っていつも笑いあってさ

 

 

でも

 

俺がボランティアをやめた理由は

 

アナタのその言葉が本当にそうなんだって

 

7年かけて腑に落ちたから。

 

ボランティアは街の力をある一点から

 

逆に削いでいく

 

ボランティアが街をダメにする

 

そこに気づいたから

 

気付いた理由はアナタのその言葉をずっと俺は

 

心に置いといたから

 

 

 

 

でもアナタはこうも言ったね

 

「この災害が1000年に一度って言うなら

 俺たちは教科書にのる。

 何があって どうして どうなって

 何が出来たか 1000年後の人に伝える

 義務がある。だから踏ん張らねばいけねっのす」

 

 

 

書いてて思った 今本当に気付いた

 

俺 アナタの言ってくれた言葉のまま

 

今までやってきたんだ

 

 

 

ボランティアは自己満足

 

ボランティアが街の力を削ぐ

 

1000年後に復興とは何かを伝えるため

 

知ることを諦めない

 

 

俺の基本はアナタが作ってくれたんだね

 

気付かなかった

 

今頃気付いた。。。

 

 

自分のベースがアナタに作られたことに

 

気付きました

 

 

 

 

 

1000年後の教科書のコト

 

俺が引き継ぐね。

 

 

 

 

 

オシャレでシャイでちょっと不思議ちゃんで

 

でも優しいアナタが僕は(途中から)大好きでした。

 

いや 大好きです。

 

それは変わらんよな

 

 

アナタが生きてようが死んじゃおうが。

 

 

パパ

 

もう今日も仕事が始まる

 

パパ

 

ちょっと待っててね

 

逢いに行くから

 

あっ、あの世まではまだ逢いにはいかんけど

 

それはあと何十年か後だけど

 

 

 

そん時はルイ13世あの世にあれば用意してて

 

また飲もうね。

 

 

パパ

 

ありがとう

 

 

 

 

あなたのいない世界ではない

 

あなたのいた世界を生きてくね