柳のお話

            

 

 

 

正直引っ越してきた時

 

桜並み木に感動しつつ

 

その柳に「？？」と

 

「ってか邪魔」って思っていました。

 

 

美しい桜のピンクの雲のような

 

綿雪のような景色の中

 

異彩を放つ緑・・

 

 

 

やがて桜は散り

 

新緑を経てその緑も枯れ

 

枝のみになった冬のある

 

風の強い日僕はベランダから

 

葉が落ちた枝だけの桜並み木と

 

緑の柳の木が風に揺れる様を見てました

 

 

 

枝ぶりの良い桜の木

 

風にも負けず枝も大きく揺れず耐えています

 

それに引き換え　柳の枝は

 

風に翻弄され頼りなさげに大きく揺れ

 

なんなら一回転する有様。。

 

細くてか弱い　風に負けそうな柳の枝・・

 

 

 

その時僕ははっとしました

 

まてよ・・

 

桜の枝が見てる景色と

 

柳の枝が見てる景色・・

 

 

桜は一見強くて　揺るがず

 

その場に踏みとどまり

 

それこそ動かざること山の如し

 

じゃないけど

 

その風に対峙して一見正しく見える

 

 

でも桜の枝が生涯観れる景色は

 

その強さゆえ動かず揺れず

 

ほとんど変わらず

 

同じ景色だけを見続けている

 

 

 

 

翻って　柳の枝

 

それはもう

 

翻弄されるがまま揺れている

 

そのおかげで

 

上も下も右も左も

 

前も後ろも

 

全部の景色を見てる

 

見れているんだ！！

 

 

 

 

それにか細く弱弱しく見えるのは

 

「枝」だけで

 

幹は桜と同じく

微動だにしていない

 

 

 

そうか！揺れるためには

 

基点が大切で

 

その揺るがない基点があればこそ

 

揺れることが出来る

 

でないと風に千切れ飛んで行ってしまう。

 

 

 

 

心揺れ　疲れ果てた時

 

実は僕らはたくさんの「景色」を

 

見ることが出来るんだ

 

人の尊さや

 

人の愚かさ

 

人の優しさ

 

人の無慈悲

 

人の愛しさや

 

人の傲慢さ

 

食べる事

 

話す事

 

会う事

 

温もりを確かめ合う事

 

 

 

 

どこかすぐに歪んでしまう日常・・

 

自分では如何ともし難いことで・・

 

 

 

その歪みは徐々に蝕んで

 

僕らはその歪みを日常と呼んででも

 

普通としないと生きていけない・・

 

 

 

でもどこかモヤモヤしつつも

 

何か矛盾に気が付きながらも

 

便利さや忙しさ

 

効率や経済的優先度

 

様々な理由を付けて本当は

 

見なくちゃいけない景色を

 

心や目を縛り上げ見ないように

 

感じないように　考えないようにして来た

 

 

 

 

 

 

揺れ惑い見させられる景色

 

激しくて、辛くて

 

悲しくて、苦しくて

 

目もあけられないかもしれないけど

 

でも、よく見ていこう

 

 

 

今まで見てなかった

 

でも、すぐ右にも左にも

 

頭上にも足元にも

 

前にも後ろにもあった

 

でも見ようとしてこなかった

 

気付いても目を向けてこなかった

 

「当たり前の景色」

 

 

その中には

 

無限の可能性がある。

 

 

揺れる事を

恐れる事

それは

仕方がない事かもしれない

でも必要以上に

怖れないでもいい

 

 

揺れることは

弱いことじゃない

 

むしろ動かない

動けない事の方が

怖いんだ

 

 

 

揺れることは

実は目を開けば

ポジティブな事だ

目をつぶるから

怖いんだ！

 

 

 

 

 

揺れよう　翻弄されよう

 

風に流されて様々な景色を

 

見て感じていこう

 

 

大丈夫

 

俺たちが揺れても

 

俺たちの幹は存外強い。

 

 

さぁ思いっきり

 

揺れる自分で生きよう！