被災地での「ニーズ」と言う事の意味

 

 

例えば、「今」地震が起きて

 

僕の「生業」・・床屋さんが

 

出来ない状況になってしまったとして・・・

 

 

 

でも全国の心優しき人から 人たちから

 

ハサミ、櫛、ドライヤー・・

 

僕の仕事に必要なものが徐々に集まりだし

 

災害から数か月たち

 

「よし、少しでも、細々でも

 価格はフルサービスできないから下げてでも

 仕事を再開しよう!・・・・でも・・・

 こんなまだ皆被災状況で商売を始めていいのだろうか?

 ・・でも、俺にも生活がある!やろう!!」

 

そう不安や様々な葛藤を経て

 

お店を再開しました

 

 

そんなある日・・

 

 

「東京から『ボランティアカット』が来てくれます!

 避難所で無料で髪を切ってくれます!

 それも東京の超有名店でカリスマ美容師の方たちです!」

 

 

被災者支援ボランティアの方が

 

間に入って「髪を切って欲しい」そういう

 

ニーズ

 

を吸い上げ その機会を作りました

 

 

「皆さんがすこしでも髪を切って

 前向きになれたら・・」

 

美容師さんたちは、素晴らしい技術で

 

次々と避難者の方の髪を切ります

 

SNSで発信し 時にはメディアも取り上げます

 

ボランティア活動をして

 

喜び合う皆さん・・・

 

 

 

でも・・・

 

俺の店に来てくれた

 

あの人も あのばあさんも

 

あの子も この子も・・・

 

みんな髪がサッパリ切られて

 

再開した俺の店には誰も来ない・・・

 

確かに

 

ニーズ

 

はあるだろう・・・・

 

 

 

でも 声に出しては言えないけど

 

言えば お前はお前の金の事だけ考えてるのか!

 

そう叩かれるかもしれないけど・・

 

 

俺の生業を奪わないでくれ!!

 

 

食べ物なら 明日も食べるから

 

買ってくれるかもしれない

 

でも髪は こんな非常時ならましてや

 

毎月なんて切らない!

 

つまり「ボランティアカット」は

 

下手すれば 向こう3か月の

 

「売り上げ」を奪うことになるんだ

 

 

 

切って欲しい 切ってあげたい

 

ニーズ

 

 

そこには

 

切らないで欲しい 俺に切らせてほしい

 

ニーズ

 

があることを忘れないで欲しい

 

 

 

 

震災から3か月

 

確かに水も通らず

 

珠洲市などでは本当に困ってる方がほとんど

 

 

でも そんな中でも

 

這い上がろうと足掻いてる人がいる

 

床屋が美容師がいる

 

どうかボランティアカットをする時は

 

それを忘れないで欲しい

 

 

ニーズはある

 

でも

 

それに困る人もいる

 

 

 

支援てそういう

 

諸刃の剣なんだ

 

 

 

え?お前東北でやってたんじゃないの?

 

ううん 

 

俺が髪切ったのは 4回だけ

 

上記の事に気づてから

 

切ることをやめたんです

 

どんなに頼まれても

 

全部断りました

 

 

その代わり 避難所に

 

「白地図」を作り

 

今どこの店が再開した

 

今どこの美容室が営業再開した

 

それをどんどん書き込んでもらったの

 

 

もちろん 無料でやるサロンもあった

 

多少のお金を取る店もあった

 

でも 僕は絶対やらなかった

 

 

 

マスターベーション・ボランティアに

 

なりたくなかったからね

 

 

 

きっと・・

 

今日も出ないシャワーブースの横で

 

髪を切る理容師・美容師が

 

3か月目もいただろうね