汗と涙を隠しながら「我歴」を積む

 

 

7月31日 僕は西日本豪雨災害の現場

 

岡山県真備町を訪れました。

 

そこで今回何をしたかと言うと

 

皆さんがよくTVで見る光景は

 

泥掻きや家財の運び出しなどでしょうが

 

僕がしたのは

 

「家の解体作業」

 

 

えっ?って思う?

 

家をこれから直して住むんじゃないの?

 

なのに壊しちゃうの?

 

 

そうなんです

 

「壊す」んです。

 

 

水に浸かってしまった家は

 

先ず家の躯体(柱や基礎)が

 

水を大量に含んでしまっています

 

また家の地盤にも大量の水分が入ってしまいます

 

そこをそのままにして

 

壁の補修や外壁などの補修をすれば

 

含まれた水分が徐々に染み出し

 

カビが生え 家を支える金物がサビ

 

強度が落ち 家はすぐにダメになってしまいます

 

 

その為には家を裸にします。

 

柱を露出させ

 

床をはぎ

 

床下の水分を含んだ汚泥を掻きだし

 

少しでも家を乾燥させるのです。

 

 

個人の方のお宅で

 

写真を撮るという行為は出来ないので

 

写真はないですが

 

僕は家を壊してきました。

 

 

 

壁をバールでぶち抜き

 

断熱材をはぎ落し

 

土壁を崩し

 

・・・それをしながら思いました

 

皆さんは「瓦礫」と言いますよね?

 

でも東北でもそうでしたし

 

今回も感じました

 

僕がしている行為は

 

その人の積み重ねた「歴史」

 

その歴史や

 

家を建てた時の喜びや希望

 

選んで悩んだ壁紙

 

コンセントの位置さえも

 

そんな「想い」を僕は今

 

見ず知らずの いきなり来た奴が

 

壊している。。。

 

 

その想いを想像すると

 

胸が苦しくなりました。

 

逆だったら。。。辛いよなって

 

 

でも汗と涙を隠しながら

 

時に笑顔で話しながら。

 

 

 

進めば進むほど消えていく

 

家を建てた時の「希望」

 

進めば進むほど広がる

 

この先への「迷い」

 

僕がしている行為は

 

支援なのか?

 

でも、今はこれが出来ること・・

 

 

 

僕は心の中で本気で

 

見知らぬ家の壁に床に向かい

 

感謝と哀悼とがない交ぜになった気持ち・・

 

敬虔な祈りの気持ちで

 

向き合いました。

 

 

僕はこの方々の

 

歴史や想い出にバールを振り下ろして

 

ハンマーで打ち砕いてるんだ

 

足元に散らばる壁板 タイル 土

 

これは「瓦礫」ではない

 

彼らの「我歴」なんだ

 

 

路上に積み上がってる一つ一つが

 

誰かの想い出 誰かの歴史

 

だから「瓦礫」とは僕は呼べないんです。